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ケータイ・インターネットの歩き方1「入門編」
別添「スマートフォン編」~保護者向け解説版~
- ケータイ・インターネットの歩き方1「入門編」別添「スマートフォン編」【保護者向け解説版】(テキストファイル形式)
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1. スマートフォンとは
「スマートフォン(以下「スマホ」)」は、携帯電話が高機能化していく流れの中で登場し、ケータイよりもインターネットに接続して利用することが想定され、また、これまでのケータイをはるかに超えるさまざまな機能を兼ね備えており、携帯電話というより、むしろ小さな「パソコン」と考えた方がよいでしょう。
スマホは、ケータイにパソコン並の機能を持つ賢い(Smart)電話(Phone)という意味で、高性能・多機能な電話を意味します。日本では、主にiPhoneとAndroid端末に分類され、パソコンに匹敵する性能の基本ソフト(OS)を採用し、画面を直接操作するタッチ方式のパネルを搭載している機種が大部分です。
高性能なのに小さくて軽いスマホがあれば、通話やメールは勿論、どこにいても、WebサイトやSNSへの投稿や閲覧、スケジュール管理、動画・音楽・電子書籍、通販などを行うことができ、生活に、仕事に、学習に、遊びに、幅広く活用することができます。また、パソコンのように、アプリケーション(以下「アプリ」)をインストールすることで、新たな機能を容易に追加することができ、使い勝手が向上します。
子供に「スマホを持たせる」ということは、「単にケータイを持たせる」ということと同じではありません。店頭で販売されているのは、現状、ほとんどがスマホです。しかし、子供にスマホを持たせるのであれば、価格や通信費の問題だけではなく、スマホ特有の問題に対しても注意を払わなくてはなりません。
2. スマートフォン特有の問題
子供にスマホを持たせる場合には、「ケータイやインターネット」の危険性について理解すること(詳しくは、ケータイ・インターネットの歩き方1 「入門編」保護者向け解説版をご覧ください。)に加え、以下のようなスマホ特有の問題に対しても子供への注意を促す必要があるでしょう。
(1) フィルタリング
2009年年4月施行の「青少年インターネット環境整備法」では、携帯電話会社に18歳未満のユーザーに対するフィルタリングの提供義務を課しています。フィルタリングとは、スマホや携帯電話、パソコンから有害サイトの閲覧を制限する仕組みです。
各携帯電話会社では、スマホの場合、ケータイではあまり利用されることのなかった無線LAN(Wi-Fi)にもフィルタリングをかけられるサービスやアプリを提供していますので、保護者がこれを利用するなど積極的な対応を行うことが必要です。
また、アプリについては、2012年11月以降、各携帯電話会社からアプリの利用を制限するフィルタリングが提供されています。スマホを安心・安全に使うための方法やフィルタリングについては、それぞれお使いの携帯電話会社に相談して、適切なものを利用しましょう。
(2) ウィルス感染
スマホはパソコンと同じように、コンピュータ・ウィルスに感染する危険があります。ウィルスに感染してしまうとスマホが使えなくなるだけでなく、アドレス帳の内容やメールの履歴、保存されていた写真などのデータが壊されたり流出したり、IDやパスワードが盗まれて悪用されるような被害に遭う可能性があります。場合によっては、第三者によってスマホが乗っ取られ、犯罪に利用されることもあります。
気づかないうちに侵入するウィルスの被害に遭わないために、次のことを実行させましょう(自分でできないうちは、スマホを与えるにはまだ早いと考えるのが賢明です。)スマホのアプリについては、個人情報を無断で外部に発信するなどの問題が起きているほか、アプリを使った通信には従来のフィルタリングが機能しない場合もあるので、子供の利用するアプリは信頼できるものなのか、きちんと注意を払うことも必要です。
- ・セキュリティ対策ソフトを導入させる
- ・ウィルス対策ソフトを常に最新の状態にさせる
- ・知らない人や、登録した覚えのない企業やWebサイトなどからのメールや添付ファイルは開かずに削除させる
- ・開設者が明確ではないなど、怪しげなWebサイトやコンテンツにアクセスさせない、利用させない
- ・アプリは信頼できるものだけを利用させ、提供元が不明なアプリなどは利用させない
(3) 情報やデータを守る
スマホは小さくて軽いので、どこにでも気軽に持ち運べます。しかし、紛失や盗難に遭えば、パソコンと同様に、重要な情報や個人情報が流出してしまう危険性があります。個人情報が流出してしまうと、自分が被害に遭うだけでなく、友だちや家族など様々な人に迷惑をかけてしまうかもしれません。また、通話や通信、ショッピング等に利用されてしまったら、その費用は盗難された人(保護者)に請求されてしまいます。
子供がそのような被害に遭わないように、スマホには必ずパスワードなどのロックをかけさせましょう。メールやアドレス帳、データフォルダーなどにロックをかける機能やアプリもありますので、これらもうまく利用してください。また、スマホを紛失したときには、携帯電話会社に連絡して利用の中断やロックをしてもらうことも可能です。
(4) 情報発信
スマホがあれば、いつでもSNSなどを利用することができます。友だちだけでなく実際には会ったことのない人とも、楽しく情報交換をすることができますが、中には過度な正義感を振りかざす人や悪意を持って接してくる人もいます。不用意な書き込みをしたために、誹謗中傷されたり、脅迫を受けたりするようなトラブルも起こっています。
子供がそのようなトラブルに巻き込まれないように、名前や生年月日、住所、電話番号、顔写真などの個人情報を書き込んだり載せたりしないように注意させてください。本人は友達しか見ないと思っていても、インターネット上の情報は世界中の誰からでも閲覧が可能です。未成年が飲酒・喫煙をしたことなどを書いてしまい炎上することもありますが、これは、インターネットでの書き込みが世界中につながっている意識が足りないことが原因です。一度インターネットに書き込んだ内容や流出した個人情報などは、取り返せませんし、半永久的にインターネット上に残ってしまいます。また、バラバラに載せてある情報であっても、情報の断片をかき集めて個人を特定することも可能ですので、友人関係、自分の行動の公開などにも注意させることが必要です。(詳しくは、ケータイ・インターネットの歩き方5「情報発信の仕方編」をご覧ください。)
(5) 依存
スマホ依存やネット依存という言葉を聞いたことはありませんか。スマホやパソコンが手元にないとひどく不安になったり、四六時中、インターネットやゲームなどに没頭しすぎて自分では歯止めがきかなくなったりする状態をいいます。寝ないでネットゲームをして学校を休む、ネット以外での対面のコミュニケーションがとれなくなるなど、日常生活に支障をきたす例も見られます。また、ゲームのイベントやアイテム収集のために有料サービスを利用しすぎて、大変高額な請求が来てしまうケースも発生しています。
スマホは、ケータイとパソコンの両方の機能が使えるため、子どもが上手に活用すれば、生活や学習に役立てることができます。しかし、スマホを優先しすぎるあまり、逆にスマホに支配されてしまわないように、次のことに気をつけてさせてください。家族で話し合って、「約束」を決めておくことも効果的です。
- ・家族、友だち、先生などとの、リアルなコミュニケーションを大切にさせる
- ・食事、宿題、登下校など、自分のやるべきことを優先させ、スマホはその次に
- ・使っていないときは手から離させる(例:歩きながら・自転車に乗りながら・入浴中はスマホを見ないようにさせる)
- ・使わない時間帯を決めさせる(例:勉強中・就寝中は電源を切る)
3. 最後に
今の子どもたちは、デジタルネイティブとも呼ばれ、生まれながらにしてケータイやパソコン、インターネットのある生活環境の中で育ってきた世代です。すでに、多くの子どもたちはその利便性を生活や学習で有効に活用しています。更にスマホが出現したことにより、それらの機能を、いつでも、どこでも利用しやすい環境になりました。
これから子どもたちが生きていく社会では、情報収集やコミュニケーション、表現の手段として、情報機器を上手に活用できる力がますます求められていくことになります。その力を育むためにスマホのような新しい情報機器を与えるのは悪いことではありませんが、安易に与えるだけでは思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。子供たちが、情報機器をよりよい方向に利用していくためには、子供たち自身にスマホやインターネットの危険性をしっかりと理解させておくことが大切です。そのためにも、子どもたちの安全な利用をサポートしてあげられる知識を大人も身につける必要があります。また、トラブルに巻き込まれないよう事前に注意をすること以外にも、子供たちのインターネットの利用状況を見守り、確認し、会話をするといったことも大切でしょう。
子供たちの安全を守ると共に、将来に向けて必要な力をつけさせるために、私たち大人が果たすべき役割について、大人同士でも話し合って、力を合わせて取り組んでいきましょう。